「児童養護施設　仕事内容⑥」～ファミリーソーシャルワーカー編～

児童養護施設のことをもっと知りたい！と思ってくださっている方へ

本シリーズ6作目になりました。今回は「家族」に関する職員の仕事内容を紹介したいと思います。

家族については、日々子どもたちと関わっている全ての職員が携わっていますが、その中でも家族関係の役割を担っている「ファミリーソーシャルワーカー」についてご紹介します。

※以下、「FSW」と省略させて頂きます

■FSWの役割とは？

若草寮には3名のFSWがいます。日々子どもたちと関わりのある、児童支援員と連携しながら家族の対応を行っています。

児童養護施設には何らかの事情により、家庭で生活を続けることが困難な子どもたちが入所をしています。子どもたちが育ってきた環境はそれぞれ違います。施設に入所して解決ではなく、退所後を見据えた家族との関係構築を図るための中心的な役割を担います。

子どもたちの気持ちに耳を傾け、保護者と定期的に顔をあわせ、児童相談所などの関連機関と常に相談しながら対応にあたります。施設職員や関連機関との連携も大事ですが、子どもや保護者の意見を聞くこと、聞いたうえで一緒に考えていくことが大事だと思っています。

 

ここからはFSWの方にインタビューをしました。

Q1.お仕事内容について教えてください。必要な資格はありますか？

FSW　Aさん

要件としては、施設で子どもたちの養育に5年以上従事した者。社会福祉士または精神保健福祉士の資格を有するものとなっています。

 

FSW　Bさん

主にグループ勤務の補助に入りながら、親子交流の調整や児童相談所との連携などを中心に行っています。

 

Q2.入職してから今の役割になるまでの経緯を教えて下さい。

FSW　Aさん

グループで児童支援員を8年間行い、3年前にFSWになりました。

児童支援員の頃は、男子グループ、女子グループ、グループホームも経験しました。

 

FSW　Bさん

男子グループで5年間、児童支援員として勤務をしました。日々、親子と関わっていく中で、家族支援にやりがいを感じ、様々な研修を受けました。3年前にFSWになりました。

Q3.やりがいを感じるのはどんな時ですか？

FSW　Aさん

子どもたちの思い、ご家族の思い、グループなど施設職員の思い、関係機関の方の思い、それぞれに思いがありますが、どうしたら子どもの最善の利益となるか、皆でチームとなって考えていけると良いなと考えています。

FSWの役目は、それぞれを「繋ぐ」ことなのかなと思います。難しい役割ですが、皆であれこれ考えている時にやりがいを感じます。

 

FSW　Bさん

家族と言っても、家族のかたちというのはそれぞれだと思います。「こうでなきゃいけない」ということはなく、それぞれの家族にあったかたちを保護者や子どもの話を聞きながら一緒に考えていくこと。また、日々子どもたちと生活している職員と一緒に考えていくこと。それらがやりがいだと感じています。

 

Q4.働く上で大切にしていることはなんですか？

FSW　Aさん

様々な家族のかたちに思いをめぐらせるようにしています。正解やゴールがないことを理解し、自分たちにやれることをその時その時全力で考えるようにしています。

 

FSW　Bさん

コミュニケーションにおいて、話を聞くということを大事にしています。一方的にこちらが話すのではなく、親や子どもの話を聞くことを大事にしています。また、一つの話で判断するのではなく、色々な人から話を聞いて、多角的な視点で考えるようにしています。

 

Q5.大変だと感じることはありますか？

FSW　Aさん

相手への伝え方については、難しさを感じます。思っていることが上手く伝えられず、反省する日も多くあります。相手を知り、自分を知ってもらうために、丁寧なコミュニケーションを日頃から意識するようにしています。

 

FSW　Bさん

ファミリーソーシャルワーカーだからというわけではないのですが、日々仕事を要領よく取り組むことが苦手なので、仕事がどんどん増えていく事が大変ではあります。あと、最近は体調を崩すことが多く、健康面に気をつけたいと思っています。

 

最後に

若草寮のFSWは３名体制で行っていますが、全職員が家族と関わっていること、FSWをはじめ、色々な職員が連携をしています。色々な人や機関が関わっていますが、何かを決めるときには保護者や子どもの意見を聞き、何がその家族にとっていい形かを考えていくことが大事だと思っています。。

 

シリーズ一覧
① 児童支援員編
② 調理・食育の専門職編
③ 自立支援の専門職編
④ 心理の専門職編
⑤里親支援専門相談員