若草寮からのお知らせ
INFORMATION
2023.11.16
求人情報
「児童養護施設 仕事内容③」~自立支援の専門職編~
児童養護施設のことをもっと知りたい!と思ってくださっている方へ
本シリーズも3作目となりました。今回は子どもの“自立”に携わる職員の仕事内容を紹介したいと思います。
子どもの自立支援には全ての職員が携わっていますが、自立支援コーディネーター(自立支援担当職員)、個別対応職員、職業指導員、これら3つの専門職をご紹介します。
「自立」とは?
一言で自立と言っても幅が広く、イメージすることも一人ひとり違います。そのため、若草寮では、若草寮においての自立に対する考えを以下のようにまとめました。
「 自立とは、自らの成育歴や家族との関係を受け入れ、自分の強みを知り、弱みを受け入れること。必要な時に人や社会に頼り、また断る力を持つこと。自らの意志で選択しながら、価値ある存在だと気付いていくこと。これらを通して社会の中で自分の居場所を築くことを指します。 」
若草寮の自立支援の特徴は?
児童養護施設へ入所中の子どもたちは毎年全員、自立支援計画書を作成し、子どもや関係者と共有しています。
若草寮では、この自立支援計画書をもっと子どもたちにとって身近なものにしたいと考え、「ミライ計画書」と呼んでいます。また、子どもたちと一緒に計画書を作ることを大切にし、生活の目標や将来の目標、家族のことについて子ども一人ひとりと話し合いながら作成しています。
退所が近くなると、施設内にある自活訓練室や、近隣に借りているアパートで一人暮らしの練習をします。栄養士や家事支援員にも協力を得て、買い物や調理など、個々に合わせた調理の知恵を教える機会を設けています。また、退所後に施設とどんな風に関わっていきたいか、施設ができることは何かを一緒に考えます。退所後にお世話になる関係機関ともやり取りをして、施設を出た後も安心した生活が送れるように、周りを頼ることができるようにと考えて丁寧に繋げていきます。
支援は、日々生活を見ているグループの職員が中心となり、それを専門職がサポートしています。
ここからは各専門職の担当者にインタビューをしました。
■Q1:仕事内容について教えてください。
●自立支援コーディネーター
①自立支援計画書や退所後の支援計画に関わる支援
②児童の進路(進学や就労など)に関わる支援
➂退所者に関する支援(アフターケア)
上記、自立に向けた支援のコーディネート、マネジメントする業務を行っています。
具体的には、進路(進学・就職)や住まいのサポートなどがあります。退所後の資金計画書を作成したり、大学や専門学校等への進学の際には奨学金の申請を手伝ったり、退所後の住居探しを一緒に行ないます。
アフターケアとしては、退所者へ連絡を取ったり、個々に合わせた情報の提供を行ったり、退所者からの相談に乗って必要な支援に繋げています。退所者への支援は、自立支援コーディネーターだけが関わるのではなく、入所中に関わりのあった職員も一緒に、施設全体で支援に当たっています。
●個別対応職員
退所前の進路や住居の選択、日々の生活にぴったりと寄り添い、主体的に行動できるように支援をしていく役割です。子どもが「出来ない」「無理」と思い込んでいることなど、児童支援員と子どもとの間に入って話し合うこともあります。自立支援コーディネーターとも連携しています。
●職業指導員
①職業選択の為の相談、助言、情報の提供
②実習、講習等による職業指導
➂就労の支援
④退所児童のアフターケアとしての就労及び自立に関する相談援助
具体的には、職業選択の幅が広がるように子どもと工作など物づくりを一緒に行なったり、畑や田植え等へ連れて行ったりと、日常の中では経験できない“体験の機会”を大事にしています。
■Q2:必要な資格はありますか。(所持している資格も教えてください)
●自立支援コーディネーター
児童養護施設等で5年以上従事した人か、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持っている人などが就くことができます。国か東京都の配置かで名称が異なりますが、若草寮では自立支援コーディネーターと総称しています。
現在は、それぞれ保育士資格、社会福祉士資格を所持している2名の職員が配属されています。
●個別対応職員
必要な資格はありません。教員免許、特別支援教育士の資格を所持しています。
●職業指導員
必要な資格はありません。児童指導員の資格を所持しています。
■Q3:今の役職に就くまでの経緯を教えてください。
●自立支援コーディネーター
児童支援員として入職し、自立支援コーディネーターになった者、児童支援員・個別対応職員を経て、自立支援コーディネーターになった者もおります。
●個別対応職員
元々は高等学校の教員として働いていましたが、児童の養育に興味関心があり、児童養護の道に転職しました。児童支援員を10年以上経験し、個別対応職員になりました。
●職業指導員
児童支援員として20年以上働き、令和2年から職業指導員になりました。
■Q4:やりがいや楽しさについて教えてください。
●自立支援コーディネーター
A:一緒に悩んだり、どういうものがあったら、どうしたらその子にとって分かりやすいかを考えて、資料を作ったり、話をしたりしています。その中で子どもの本音に触れられたり、新たな発見があったりするのは有難いなと思います。また、施設外の方と関わる中で、子どものために何か動こうとして下さる姿勢を感じたり、実際に機会を得て子どもの笑顔が見られることもとても嬉しいです。
B:子どもたちは退所後、日々様々な困難を乗り越えながら生活しています。電話やLINE等で相談があったり、施設に遊びに来て近況を聞かせてくれたり、思い出話に花を咲かせることもあり、彼らの姿に励まされることばかりです。施設で長く働き続けていると、小さかった彼らの20代、30代…とその先の姿を知ることとなり、成長したところ、変わっていないところを感じられることができ、ずっと続いていく付き合いができることはこの仕事の魅力の一つだと思います。
●個別対応職員
児童から教えてもらうことがたくさんあります。子どもが成長していく姿を間近で感じられること、それが自身の気づきや成長にも繋がっていくことです。
●職業指導員
物づくりを通して、自分の経験を活かすことができ、児童と過ごす時間が得られるところ。学校の勉強以外でまだ知らない自分や知らない世界に気付くことがあるかもしれないと期待できるところです。
■Q5:働く上で大切にしていることを教えてください。
●自立支援コーディネーター
A:いろいろな方と関わらせていただく機会が多いので、つながりを大切に出来たらと思っています。また、子どもや職員からも話しかけやすい雰囲気作りも大切なことだと思っています。
B:物事を多面的・多角的に見つめること。また、子ども自身とも職員間でも、何が良いかを一緒に考えて話し合っていくことです。
●個別対応職員
平常心。児童の意見を聞き、話し合いや相談に繋げていくこと。前例に捉われず、児童のニーズに合った支援を自由に発想し、展開していくことを大切にしています。
●職業指導員
対象を見ること。どんな風にアプローチすれば良いかと考えること。できたものをよく見ること。そして自分を振り返ること。物づくりを通じてまだ見たことのない自分を知ることになったと思えること等が大切だろうと考えています。
■Q6:働く上で大変だと感じていることはありますか。
●自立支援コーディネーター
A:制度や奨学金などたくさんの情報を知っておく必要があります。研修などに参加しながら新しいことを吸収していくことや、聞いているのと実際に動くのとでは大きく異なる為、経験を積み重ねて自分のものにしていくことが大変だと感じています。必要な情報を伝えていけるように、努力していきたいと思っています。
B:退所者への支援をしている中で、入所児童に対する制度は充実してきていても、退所後に使える制度が見つからないことや、制度だけでは支えきれないことも出てきます。そういったときに、外部の支援機関に繋げたり、使える助成金などを探して申請するなど、試行錯誤の連続です。新しい制度なども増えていくので、常に情報をアップデートしていく必要があり、周りにサポートしてもらいながらなんとかやっています。
●個別対応職員
子どもと密に接することが多いので、自分の中の反応を対応に変換すること。本心の答えを見つけられるように、適切な関わりや効果的な質問を投げかけること。他職員との連携に必要な意思疎通を図れるようにすることを身に着けていく努力が必要だと思っています。
●職業指導員
仕事の上で大変だと感じることはないですが、児童の行く末、自分(児童)の望む道に進む際の大変さは想像してしまいます。
その他の専門職の仕事内容についても、引き続き少しずつご紹介していこうと思います。
過去に投稿した専門職紹介ページには、下記からもアクセスできます。
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